PIRKATANTO 's
SUMMER VACATION
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illustration + DM design
ピリカタントが主催するイベント「ピリカタントの夏休み」のイラストを描きました。
2012年の夏ごろから、下北沢にあるピリカタント書店という、「ご飯も食べられる本屋さん」と言ってしまえばそうだけど、それがはばかられるというか、一筋縄でいかないおもしろいお店に通っていたことがありました。
本棚には幸田文、石田好子、森茉莉から平松洋子といった料理・食にまつわる本から、星野道夫や石川直樹などの冒険記、廃番になってしまったよりみちパン!セ(叶姉妹の恭子さんや、みうらじゅんから重松清、森達也などの幅広い書き手とcozfishの祖父江慎の装丁が相まってすごくアツい教養書シリーズ)など面白そうな本がたくさんつまっているし、どこの国の料理かよくわからないけどとにかく五臓六腑があたたまるおいしいご飯を出してくれる店主のゆうちゃんを中心に、ちょっと年上の、編集者、カメラマン、料理人、といろんな仕事をしてる人たちが集まっていて、東京に出てきて友達もあまりいなかったわたしにとって、とても刺激的で、そしてほっと一息つくこともできる大切な場所でした。時を経ていまは店舗はなくなってしまって、ゆうちゃんは出張料理人として、東京を中心に全国津々浦々を旅する人に。
今回のイベントは、“かつて下北沢にあったピリカタント書店に流れていた空気を五日間にわたって再現する”、とのことで、お店で過ごした空気を思い出しながら描きました。
左下にあるのは琉球ガラスに入っている煮物。その奥にある果物。かつてピリカタントでごはんを食べたときに煮物がガラスに盛られてでてきて驚いたものの、よく見ると妙にしっくり来るなあ〜なんて感心したり、頼んだごはんでおなかいっぱいになっているのにふと顔をあげたらカウンターのむこうから旬の果物を一個まるごと「はいこれ」と出してくれたり。通っていたときのエピソードを思い出しながら描き進めました。
描いたラフはすぐに気に入ってもらえて、未だかつてないスムーズさで入稿に至りました。お互いすぐにピンとくる瞬間というのはすごくしびれるし、嬉しいものです。
「ムードをつかみたいので音楽を送ってほしい」とお願いしたときにおくってもらった動画を聴きながら描いたのも、とても良く作用したと思います。
送ってもらった音楽のリンクをいくつか貼っておきます。
矢野顕子 + PAT METHENY | PRAYER (NEW VERSION)
七尾旅人 | 湘南が遠くなっていく
アン・サリー 満月の夕(ゆうべ)